当院での治療の特徴
麻酔科の先生方のご協力の下で、特に心房細動治療においては、全例に全身麻酔(吸入もしくは静脈での麻酔薬投与)を施行し、患者様の苦痛、不安を出来るだけ除くように努力しております。全身麻酔による副作用は、これまで多くの症例を施行してきましたが、特にございません。
治療説明
動悸などの不整脈で困っている患者様の治療として、内服薬ならびにカテーテルアブレーションによる方法があります。
不整脈チームでは、内服加療が困難な不整脈に対して、カテーテルアブレーション(心筋焼灼術)を施行しています。
治療対象となる不整脈は多岐に渡りますが、主に、心房細動、心房粗動、上室性頻拍、心室頻拍に対するカテーテルアブレーションを中心に行っております。
心臓は、健常者の場合には、刺激伝導路と呼ばれる電気の通り道を介して、規則正しく拍動し、全身に血液を送っています。しかしながら、期外収縮と呼ばれる心臓の収縮や、副伝導路と呼ばれる伝導路、肺静脈からの電気刺激により、上室性頻拍、心房細動、心室頻拍などの不整脈が誘発されます。
こうした、異常な電気の刺激の原因となる箇所、不整脈を誘発する原因となる余計な伝導路を焼灼することが、心臓カテーテルアブレーションの目的です。現在では、熱で焼灼するだけではなく、心房細動については、クライオバルーンと呼ばれる風船を用いて、肺静脈をマイナス50度程度まで冷却して焼灼する方法も当院では用いております。風船を使った治療は、通常のカテーテルアブレーションと比べ、成功率はほぼ変わらず、治療による合併症が低いことが知られております。
心房細動アブレーションでは、図で示したように肺静脈周囲を1点ずつ焼灼して肺静脈隔離を行い、肺静脈からの異常電気信号が心房に伝わらないようにすることで、心房細動の発生を防ぎます。
不整脈の治療は、首ならびに鼠径部から数本の細いカテーテルを挿入し、まず刺激伝導路をきちんと同定することから始まります。その後、異常な電気の流れを同定し、焼灼を行います。治療時間は、当院で最も多く施行している心房細動を例に挙げると、約3時間程度です。治療後は、集中治療室で経過を見て、治療経過に特に問題がなければ、翌日一般病棟へ戻ります。
不整脈チームは、薬物治療でなかなか改善しない不整脈に対して、積極的にかつ安全にカテーテルアブレーションを施行することで、良好な成績を挙げております。もし不整脈でお困りの患者様がいらっしゃいましたら、ぜひ東海大学不整脈チームまでご相談頂きますようお願いいたします。
左房を正面から見たCT画像
左房を後面から見たCT画像
アブレーションを施行した赤色の点のラインを境に、肺静脈と左房が隔離されている
入院日数(入院の流れ)
心房細動治療の場合には3泊4日、それ以外の治療の場合には、2泊3日で予定しております。治療の内容によっては、入院期間が延長する場合もございます。
<心房細動治療での入院スケジュール>