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2020年9月より世界で最新のMitraClip G4システム(第4世代)が本邦でも使用できるようになりました。当院でのこれまでの治療実績が評価され、本邦で最も早くこの最新デバイスを使用できる病院の一つとなりました。このG4システムの最大の特徴は、これまでClipのサイズが1種類のみであったのに対し、計4種類のサイズに増えたことで、より幅広い解剖の僧帽弁閉鎖不全症の治療が可能になる、ということです。また、これまでは前尖と後尖を同時に掴むことしかできませんでしたが、G4システムでは別々に掴むことが可能となり、よりしっかりと弁尖の把持が可能となり、安全性および有効性がより改善した、と言えると思います。

このG4システムの導入により、これまで以上に、多くの患者様の治療に貢献できることを、東海大学ハートチーム一同、強く願っております。

MitraClip G4システムの4種類のサイズ

当院での治療の特徴

齢や併存疾患の存在のために開心術のリスクが高い患者様に対してより低侵襲なカテーテルによる僧帽弁治療を行っています。イタリアで研鑽を積み、本邦における臨床治験初症例に指導者として招聘された大野医師とアメリカの名門Emory大学で臨床実績のある上岡医師を中心に、患者様の負担のより少ない世界最高レベルの治療を提供致します。また、風通しの良いハートチーム(循環器内科、心臓血管外科、麻酔科、口腔外科医、手術室・病棟・外来看護師、臨床工学技士、放射線技師、心エコー技師、理学療法士、栄養士など)が治療前の外来から術中、退院まで、そして退院後の外来通院のあらゆる過程をサポート致します。

治療説明

帽弁閉鎖不全症に対するカテーテル治療
僧帽弁閉鎖不全症とは、本来左心室から全身に血液が送り出される時にきちんと閉じていないといけない僧帽弁に逆流を生じてしまう病気です。この僧帽弁閉鎖不全症によって息が切れる、足がむくむ、横になると苦しくて夜眠れないなどの症状が出ることがあり、このような症状が出た場合には治療の必要があります。飲み薬で症状が十分に改善しない場合は、外科手術かカテーテル手術により弁を修復して逆流を減らす治療を検討致します。僧帽弁を支える腱索という組織が切れることで生じる逆流に対しては、原則心臓外科手術による僧帽弁形成術が考慮されますが、低心機能(心臓のポンプ機能が弱ってしまった状態)に伴う逆流に対しては、胸を開かずに足の付根の血管からカテーテルを使用してクリップで僧帽弁を掴んで逆流を減らす手術(経皮的僧帽弁クリップ術;MitraClip治療)が推奨されます。最新の海外データでは、低心機能に伴う重症僧帽弁閉鎖不全症に対しては、MitraClip治療は薬物療法のみの治療に比べて、有意に心不全による再入院や死亡を減らせたと報告されております。この治療が実際実施可能かどうかの判定が極めて重要であるため、術前に経食道心エコーという胃カメラのようなものを飲んでいただいて行う検査をすることでチェックします。

実際のカテーテル治療は、全例全身麻酔で行い、治療時間は1-2時間ですが、僧帽弁逆流の場所や重症度によって変わります。全ての治療ステップは、経食道心エコーで確認しながら進めていきます。治療後、比較的速やかに通常の生活に復帰することが可能となることが多いです。

治療のアニメーションはこちらhttps://www.youtube.com/watch?v=1MdHtUm89K0

入院日数(入院の流れ)

  • 入院日数:4泊5日〜7泊8日(病状によります)
  • 入院翌日にカテーテル治療→ 集中治療室泊
  • 治療翌日:検査(レントゲン、採血、心電図、心エコーなど)、歩行など心臓リハビリ開始、一般病棟へ戻る
  • 治療二日目以降:心臓リハビリを継続し、状態により術後3日〜6日で退院となります

実施医

  • 大野 洋平
  • 岡田 公章

  • 上岡 智彦

  • 宮本 淳一

  • 村上 力(心エコー)

  • 堀之内 仁美(心エコー)

  • 永井 知雄(心エコー)

実績

  • 2018年 14件(9月より開始)