東海大学医学部循環器内科吉岡公一郎教授の研究グループは放射線治療科国枝悦夫客員教授らと共に、国内初となる体外放射線照射による難治性致死性心室不整脈(心室頻拍)の治療 (特定臨床研究, 厚労省認定番号 jRCTs032190041, https://rctportal.niph.go.jp/detail/jr?trial_id=jRCTs032190041)を2019年11月に実施しました。治療から1年4カ月余が経過しましたが、合併症は認められず良好な経過をたどっています。その治療内容をまとめた論文が、この度、心臓病学の国際一流雑誌であるHeart Rhythm Case Reports誌にオンライン掲載されました。

心室頻拍の治療は、現在のところ薬剤、カテーテルアブレーション、植込み型除細動器の3つが主体ですが、これらを組み合わせて治療を行っても難渋することのある重篤な疾患です。体外放射線治療は、心室頻拍に対する第4の選択肢として期待されます。現時点では心筋梗塞に合併する心室頻拍が良い適応ですが、世界的にはその他の疾患についても僅かずつ治療が開始されてきました。
患者さんにとってのメリットは、無痛治療のため麻酔の必要がなく、また照射時間が極めて短時間であることから治療侵襲性が低いことです。これまでの放射線治療の適応は、ほぼ腫瘍疾患に限られていましたが、不整脈といったまったく異なる疾患領域への治療応用は極めて革新的であると考えられます。

https://doi.org/10.1016/j.hrcr.2021.01.023